Night and Day 夜も昼も

Night and Dayという曲、いろんなアレンジをよく耳にします。

ふと思い立って、まとめてみました。

 

【ソウル編】

John Davis & the Monster Orchestra 

https://youtu.be/pxtw0Fyd9Do 

1978年から1980年まで活動したジョンデービスが率いたソウルバンドの名盤。

軽妙な曲調で、飽きずに何度も聴けます。

学生時代からのヘビロテしている一曲。

 

【ジャズ編】

Stan Getz

https://youtu.be/LpUoeJng2ic

巨匠スタンゲッツのサックスもの。

テナーサックスの重厚感と軽さが絶妙で、印象深い一曲です。

 

Bill Evans Trio

https://youtu.be/pcRZVZSHfJo 

言わずと知れたジャズの名ピアニスト、ビルエバンスのもの。

出だしのドラムが印象深く、そこにビルエバンスのピアノが乗るとまた粋でかっこいいです。

こちらもヘビロテしてる一曲。

 

Gulda & Herbie Hancock

https://youtu.be/0QplmRgXVr0 

これは今回、初めて聴きました。

伴奏なしのピアノのみの演奏だけど、展開がダイナミックで釘ずけになってしまいます。

 

ボサノヴァ

 Night and Dayでボサノヴァと言えば、Sergio Mendez &a Brazil 66なんですが、

YouTubeに転がっておらず、、

代わりにこんな感じでしょうか?

 Bebel Gilberto

https://youtu.be/3os8txtmqHU

 やっぱりこの曲はボサノヴァのイメージも強いですね。

 

【オリジナル編】

そういえば、オリジナルってなんだろうと思い、調べてみました。

この辺りでしょうか。

 Cole Porter

https://youtu.be/5WX_fKVWX2s

もともと、ミュージカル用の楽曲のようで、バイオリンの旋律が印象的です。 

 実際に映像と合わせるとこんな感じのようです。

 Fred Astaire & Ginger Rogers

 https://youtu.be/ydxcHACwX4Y

 甘い感じで、とても雰囲気があります。

こういうの結構好きです。

 

 

 

 

 

 

 

東芝、ウェスチングハウスののれんの減損について考える

2015年11月13日に、「当社原子力事業に関する一部報道について」、2015年11月17日に、「当社子会社であるウェスチングハウス社に係るのれんの減損について」と題された適時開示が行われました。不正会計問題で揺れる東芝ですが、以前からウェスチングハウスに関連する資産の減損がヤバいのではないかと噂されていました。本適時開示は、この点についての会社からの公式見解となっています。

 

~ウェスチングハウスはのれんを減損したが東芝はのれんを減損していない~

適時開示によると、ウェスチングハウスは、のれんについて、2012年度に約762億円(9.3億ドル)、2013年度に約394億円(3.9億ドル)、合計で約1,156億円(15.2億ドル)の減損損失を認識しています。一方で、東芝はこれらの減損損失を認識していないとのことです。この点から以下の2点の疑問が湧いてきます。

疑問その1:なぜウェスチングハウスは被買収企業であるにのれんを計上しているのか?
疑問その2:なぜ東芝とウェスチングハウスでのれんの減損処理が異なるのか?

 

~疑問その1:なぜウェスチングハウスは被買収企業であるにのれんを計上しているのか?~

会計基準に日ごろから慣れ親しんでいると、買収時ののれんは、買収する会社が計上し、買収される会社には計上されないという常識をご存じだと思います。一方で、今回のケースでは、のれんがウェスチングハウスに計上されており、「あれっ??」となりました。当初は、ウェスチングハウスが東芝に買収される前に計上したのれんがあるか、もしくは、東芝の傘下に入った後に、ウェスチングハウスがどこかの企業を買収し、のれんを計上しているのかなと思いました。ただ、11月17日の適時開示の1.に以下のような記載があります。


2006年度に当社がウェスチングハウス社(以下WEC)グループを買収した際、米国会計基準に基づきWECグループ及び当社連結ベースで約293千万ドル(当時のレートで3,500億円相当)ののれんを計上しました。

 

このように、まぎれもなく、東芝がウェスチングハウスを買収した際に生じたのれんをウェスチングハウスが計上しています。ここでのミソは「米国会計基準に基づき」という点です。米国会計基準には、プッシュダウン会計(Pushdown accounting)というものがあり、子会社でのれんを計上する場合があります。したがって、東芝のこのプッシュダウン会計を適用しているのではないかと推察します。なお、日本基準にはプッシュダウン会計はなく、また国際会計基準にもプッシュダウン会計はないはずで、これは、米国会計基準独特の会計処理になります。

 

~プッシュダウン会計~
プッシュダウン会計では、企業買収があった際に、親会社で計上されるのれんを子会社に押し下げる(Push down)会計処理が行われます。もう少し正確に言うと、パーチェス法を用いると、通常は連結で認識される、資産の時価への評価替えや、のれんを子会社の個別財務諸表で認識するものです。ややこしいので簡単な設例をつけてみます。

【設例1】
A社はB社の株式100%を取得した。B社は諸資産500、諸負債200、資本金150、利益剰余金150を計上している。また、B社諸資産の時価は600であり、識別可能純資産の時価は400(=600-200)である。A社はB社の取得に際して500の対価を支払った。

B社の個別BS プッシュダウン会計適用前 プッシュダウン会計の修正   プッシュダウン会計適用後
諸資産 500 100 *1 600
のれん 0 100 *2 100
資産計 500 200   700
諸負債 200 0   200
資本金 150 0   150
資本剰余金 0 350 *3 350
利益剰余金 150 -150 *4 0
負債・純資産計 500 200   700
*1:時価600-簿価500      
*2:買収価額500-識別可能純資産400    
*3:諸資産の時価評価額100+のれん100+買収時の利益時剰余金150
*4:買収時の利益剰余金は資本剰余金に振り替える。  

プッシュダウン会計を適用しない通常の場合(日本基準の場合)、買収された会社の個別財務諸表は買収前の簿価が引き継がれます。企業買収は、あくまでも株主の交代であるため、買収される会社の個別財務諸表に影響を与えないという考え方に基づくものです。一方で、プッシュダウン会計を適用すると、買収される会社の財務諸表が時価に置き換えられます。買収によって多額ののれんが生じる場合など、その発生元である買収される会社に、のれんを割り当てることによって、より適切に実態を表そうという考え方だと思います。(たぶん。)

 

少し説明が長くなりましたが、以上から、米国会計基準に基づいてプッシュダウン会計を適用し、ウェスチングハウスでのれんを計上したこと自体は普通にありそうなことではないかと思います。

 

~疑問その2:なぜ東芝とウェスチングハウスでのれんの減損処理が異なるのか?~

適時開示によると、ウェスチングハウスの減損の判定は、オートメーション、新規建設、サービス、燃料の4つのプロダクトラインごとに行われています。そして、オートメーションと新規建設のプロダクトラインで減損が認識されています。一方、東芝サイド(連結べ―ス)では、上記の4つのプロダクトラインとウェスチングハウス担当事業部(おそらく東芝本体や関連会社)を合せてひとつの報告単位として減損の判定を行っています。したがって、減損の判定結果に相違が出ている状況となっています。こちらも簡単な設例をつけてみます。

【設例2】

子会社の資産について減損の判定を行う。子会社は、各ビジネスユニットごとに減損判定を行うが、親会社(連結)では、子会社全体で減損の判定を行う。

  ビジネスユニットA ビジネスユニットB ビジネスユニットC ビジネスユニットD 全体合計
帳簿価額 100 200 200 100 600
公正価値 50 100 300 200 650
減損の判定 アウト アウト セーフ セーフ セーフ
減損損失 50 100 0 0 0

⇒子会社の判定では150の減損を認識

⇒親会社の判定では減損なし

 

細かいことを飛ばすと、減損損失は、対象資産の帳簿価額が公正価値(時価みたいなもの)を上回る場合、認識されます。簿価が公正価値を上回るとは、要するに資産が過大計上になっているので、公正価値まで簿価を切り下げるということです。【設例2】で子会社の減損判定を見ると、ビジネスユニットAとBで減損判定がアウトとなり、合計で150の減損損失が認識されることになります。一方で、親会社の減損判定はセーフとなり減損損失は認識されません。要するにビジネスユニットAとビジネスユニットBの損をビジネスユニットCとビジネスユニットDで相殺していることになります。

なお、【設例2】は、細かい単位で減損判定した場合と、全体で減損判定をした場合、結論が異なるという点を端的に示したかったため、かなり簡略化しています。のれんを含む資産の減損を判定する場合、まず、のれんを各減損の判定単位(報告単位と言います)へ按分し、減損判定を行います。減損が必要な報告単位については、最初にのれんを減損させます。のれんを減損させてもまだ損失が残っている場合、残りの損失を他の資産に按分するかたちで減損損失を認識します。

 

~子会社と親会社(連結)で減損判定の単位が違うのはOKか~

会計基準上、子会社と親会社(連結)で減損判定の単位を合わせていないことは許容されます。米国会計基準ASC topic 350という基準があり、パラグラフ350-20-35-48あたりに、子会社レベルの報告単位に基づく減損判定と親会社(連結)レベルのより大きな単位での減損判定の結果が異なる場合があることについて記載があります。ここでは、子会社レベルで減損損失が認識された場合、親会社(連結)レベルでの減損の質的要因(qualitative factor、日本語では減損の兆候とよく言います)が生じていることになる旨も言及されています。

適時開示からは完全には読み取れませんが、2012年度以前から、継続してウェスチングハウスはプロダクトラインごと、東芝連結では事業部門全体で減損判定を行っており、2012年度、2013年度も継続してこの方法を行っていたのであれば、減損判定単位に差があること自体はそこまで大問題にはならないのではないかと思います(そもそも経済的実態とかけ離れていて、おかしかったということでなれば、、)。ただ、2014年度に東芝連結の減損判定単位をさらに大きくしているようで、この点については、実態と合わない恣意的な変更になっている場合は、ヤバいと思います。本日、11月19日の日経ビジネスの記事「東芝はなぜ巨額減損の隠蔽に成功したのか」では、ここに突っ込みを入れています。

 

~見積りの偏向新日本監査法人は大丈夫か~

以下のポイントが、11月19日の日経ビジネスの記事で指摘されています。日経ビジネスの記事によると、①、②は2012年度から2013年度にかけておこなわれたようですが、適時開示には記載がありません。③については、適時開示からも読み取れます。
【見積りの変更】

①減損判定の際の、公正価値の見積方法を変更した

②ウェスチングハウスの4つのプロダクトラインの中身を入れ替えた

③2014年度に東芝連結の減損判定単位を大きくした


まず①減損判定の際の、公正価値の見積方法を変更です。日経ビジネスによると公正価値算定時に将来収益予測と同業他社の株価や類似の買収事例をベースに評価をする方法をとっていたが、同業他社の株価や類似の買収事例をベースとする部分を外したようです。ただし、ウェスチングハウスの監査人であるE&Yは認めなかったため、東芝連結レベルのみの変更のようです。普通に考えると、福島第一原発の事故などの外部環境の悪化により同業他社の収益性や時価も落ちていると思われ、減損の判定上、不利になる要素を外しにいったと推察します。続いて②ウェスチングハウスの4つのプロダクトラインの中身を入れ替えたという点です。こちらは、日経ビジネスの見解によると、減損判定が有利になるようなプロダクトラインの中身の入れ替えだそうです。さらに続いて③2014年度に東芝連結の減損判定単位を大きくしたという点ですが、こちらも日経ビジネスによると、「将来CFを大きくして減損リスクを大幅に小さくすることにつながる手法」とされています。

これらが本当だとすると、見積りの偏向(変更ではありません)と言われる可能性があります。見積りの偏向とは見積りが一方に偏っている状況で、会計上の見積りを監査する際は、全体として見積りの偏向が行われていないかという点が重要なポイントとなります。工事進行基準の適用方法など不適切な見積が指摘され、過去の決算数値の訂正を行っている状況なども鑑みると、一連の減損の騒動を通じて、この点からも、新日本監査法人がまた一歩押し込まれる立場になるのではないかと思ってしまいます。